オーダートラッキング解析

1.はじめに

主に機械構造物において、振動や騒音の問題を把握、解析するために様々な方法が用いられている。この中で、エンジン、モータ、タービン、コンプレッサなど、回転変化が伴う構造物においてはオーダートラッキング解析を行なうことによって、回転変化における振動または騒音量を把握する方法が一般的に行なわれている。
現在、オーダートラッキング解析に関する書物はほとんど発行されていない。これは、理論的な内容よりも、むしろ経験則で成り立っている解析であり、さらに同じデータをいろいろなオーダートラッキング解析装置で解析しても、ぴたりと同じ結果が得られることは殆ど有り得ないためである。過渡的な信号をどのようにフィルタをかけ正確にデータを切り出すかが特徴である。
元々、オーダートラッキング解析は、アナログ方式のトラッキング装置で行なわれていたが、FFT装置が一般化するにつれてデータ管理や装置のコストの面から、FFT方式へ転換して行った経緯がある。但し、アナログ方式からFFT方式に転換するにあたって、各FFTメーカーや、ユーザが独自の方法でオーダートラッキング解析装置を開発又は特注で開発したため、元の考え方は同一であっても、細部ではいろいろ違った方法を用いている。さらに、現在ではそのオーダートラッキング解析装置が2世代目、3世代目とそれぞれの方向へ進化している。
ここでは、オーダートラッキング解析の基本と、現在どのような方法を用いているかをまとめて行きたいと思う。
特に、現在オーダートラッキング解析として多く使用されているFFT方式を中心にまとめることとする。
 

2.なぜオーダートラッキング解析が必要か
3.どのようにデータの計測を行なっているのか
4.オーダートラッキングで得られる結果は
5.外部サンプリングと内部サンプリング(定比、定幅)
6.回転パルス(タコパルス)
7.トラッキングの処理